余暇政策論(030618)松岡真希 010146A

 

■タバコ問題とは

 EU(欧州連合)内では、2006年までにたばこ広告が全面的に禁止されることが決定している。このことは、ヨーロッパを主な舞台とし、たばこ業界をパトロンとしてきたF1には大きな問題となり、チームのスポンサーにも変動が起きている。これまで、モータースポーツ界の広告収入は、たばこ業界が70%と首位を占め、F1でも「お得意様」だったが、ハイテク産業への進出が目立つようになってきたようである。BMWウィリアムズは主要スポンサーだったたばこ会社のロスマンズとの契約を打ち切り、今季はコンピューターメーカーのHP(コンパック)に変更したほか、ニコチンパックのメーカー、Niquitinと 契約するなどしている。また、規制の緩やかな欧州以外での開催を増やすことも同時に進んでおり、トルコのイスタンブールのほか、上海、バーレーンでもサーキット建設中で、誘致を目指している。開催各国には、開催地の権利を失いかねないという懸念もあるようだ。

参考:毎日新聞(2003年4月5日朝刊)等

■F1スポンサー

2003年F1チーム正式名称

SCUDERIA FERRARI MARLBORO ・ BMW WILLIAMS F1 TEAM ・ WEST McLAREN MERCEDES ・ MILD SEVEN RENAULT F1 TEAM ・ SAUBER PETRONAS

JORDAN FORD ・ JAGUAR RACING ・ Lucky Strike British American Racing Honda ・ European MINARDI Cosworth ・ Panasonic TOYOTA Racing

・資金(『ユーロビジネス』誌による)

 ・Ferrari:3億800万ドル(技術サポートを技術供与として金額換算:3300万ドル)

   マールボロ        8600万ドル   フェラーリ      6000万ドル   ボーダフォン    4100万ドル

 ・Renault:2億5600万ドル(同じく1億100万ドル)

   ルノー    1億7500万ドル   JT  3000万ドル   エルフ  2200万ドル

 ・BARホンダ:2億4300万ドル(同じく:1億1800万ドル)

   ホンダ    1億1000万ドル    BAT       5500万ドル   ラッキーストライク      4800万ドル

 

このほかにも、たばこメーカーのロゴをつけて走るチームは、全チームの半数にもなる。

 

■広告・資金提供に関しての各国の法規制(グランプリ開催国)

V = 自主的規定、非国家的法律、規則 X = 法律、規則を含む規定

 

広告の禁止

広告の制限

資金提供の禁止

資金提供の制限

オーストラリア

X:広告の全形式について

X:販売時、ディスプレイ

X:スポーツイベント

 

マレーシア

X:local mediaにおける直接的な広告 

X販売時

X

 

ブラジル

X:教育施設近くの広告板

X:映画、ラジオ、テレビ、& content

 

X

スペイン

X 

 

X:2006年までに全面禁止

X

オーストリア

X:ラジオ・テレビ、2002年までに全面禁止

X:映画、ポスター、印刷広告

X:

(effective no later than 2006)

 

カナダ

X:直接的なもの

X:5年間の移行期間を経て

X

 

 

ドイツ

X:直接・間接

X:2006年までに全面禁止

X

 

フランス

X:直接・間接

X:小売店、たばこ屋でのポスター

X

 

イギリス

X:販売時を除いて

X:販売時

X:2006年までに全面禁止

X

ハンガリー

X:ラジオ、テレビ、ビデオ、青少年への広告

X:映画、print, placement & content

 

X

イタリア

X:全ての広告

 

X

 

アメリカ

X:映画、広告板、ラジオ、テレビ、ビデオ

X、V:警告、プリントメディア

X

 

日本

V:映画、インターネット、ラジオ・テレビ

X:プリント

V

 

ベルギー

X:広告板、放送、プリントメディア

X:販売時point-of-sale、その他全ての広告

X:2003年までに全面禁止

 

WTOTobacco Free InitiativeTobacco Control Country Profiles(各国の統計がPDFファイルで見られる。)より作成。

このほか、【health クリック、たばこ、タバコ雑学】でも世界各国のタバコ規制と現状の表を見ることができる。(1992年)

 

■グランプリ開催にむけて

・マレーシア

20031月からタバコ広告が全面禁止されているが、F1とサッカー、セパタクローへの後援については協議が必要として、禁止の例外としている。

・ブラジル

20031月から文化・スポーツの催しでのタバコ広告が一切禁止されているが、サーキットの広告看板は禁止するものの、レースの車やパイロットの服、ヘルメットなどの広告は規制外という解釈に落ち着いた。サンパウロでは経済効果は9000万ドル(昨年実績)、雇用創出効果は間接雇用も含めて3万人あまりにもなるという。

・イギリス

タバコ会社がスポンサーとなってきたイベントについては、代わりのスポンサーを見つけるまで6ヶ月の猶予が与えられるそうである。ちなみに、イギリス政府は「タバコの宣伝並びに販促活動禁止法」によって、1年に3000人の命が救われるものと見込んでいる。

・ベルギー

タバコ広告禁止を早める法案が通過したため、2003年のカレンダーから、ベルギーグランプリは消えた。しかし、レース復活に向け水面下での動きが活発化しているようだとの見解もある。

・オーストリア

今年のグランプリ(既に終了している)が最後という見解が濃いようだ。